倶楽部の忘年会から始まった期待馬の活躍! 今も前進し続けるからこそ魅力があるのです。
ある春の日、ヤマニン軍団の勝ち星に飲み屋に出掛けたヤマニン倶楽部の面々のもとに育成場のスタッフの方から電話がありました。
「なおやさん、今年の期待馬にカルフールをあげてましたよね?」
ヤマニン倶楽部では例年、有馬記念の前日に幹部忘年会的な集いがあり、その年の10大ニュースや来年の期待馬などを選抜する企画があります。特に来年の期待馬をあげるなかでは、まだ名前も決まっていないのに、期待の明け2歳馬を各々列挙する企画もあります。今年選ばれた2歳馬たちは、以下の通りでした。
選考委員名 | 牡馬 | 牝馬 |
へいさん | デナーダー (どういたしまして) = ジョリーダンスの2016 |
ヤマニンスマイリー (笑顔) = ヤマニンメルベイユの2016 (SS3×3の血統に注目) |
おーたさん | ヤマニンラファーガ (突風) = ヤマニンリップルの2016 |
ラジュンジュレ (目標に達する) = ボーテセレストの2016 |
これいいさん |
ヤマニンベイパー (飛行機で起こる現象) |
ヤマニンスピナー (急回転) |
なおや |
ヤマニンマヒア (魔法) |
ヤマニンルニオーネ (団結,連合) = ヤマニングルノイユの2016 |
ヤマニンカルフールは、デビュー戦となった2002年7月のレースで、後の重賞勝馬でありGI2着馬でもあるヤマカツリリーを2馬身差退けて優勝、新馬勝ちを収めました。大きなレースを勝つことはできませんでしたが、ヤマニンカルフールが見せるスピードに注目していた関係者は、2004年12月の3歳上500万下の勝利をもって現役を引退させ、2005年から繁殖入りしました。
ヤマニンカルフールの母は錦岡牧場が新たな血を求めて導入したワンオブアクライン。兄姉には、4歳牝馬特別(G2)3着で桜花賞、オークスにも出走したヤマニンザナドゥ、OP馬ヤマニンリボルバーらがおり、従姉妹には三冠牝馬スティルインラブや重賞勝馬ビックバイアモンの母Sulemeif、オークス馬ローブデコルテの母Color of Goldがいる牝系です。期待が大きいことも判ります。
錦岡牧場にとってヤマニンカルフールは、ワンオブアクラインの重要な後継繁殖牝馬であったことがわかります。実際に実績でもその素質を証明し、代表産駒としてオープン馬となったヤマニンボワラクテ、現在4勝と気を吐くヤマニンシルフ、3勝したヤマニンプードレなどを輩出しています。とても期待の大きな繁殖であり、関係者がディープインパクトを種付け相手に選んだのも納得できるものでした。
「カルフールにディープでしょ、期待は大きいよ」と応えたかはうろ覚えですが、育成場のスタッフの方は、「なおやさんが期待しているというから、お知らせしなくてはと思って」電話を下さったのでした。
曰く、育成途上でも評価が高く、外厩、厩舎でも高い評価を得ていること。非常にスムーズに馴致が進んでいること。1つ1つ課題をクリアしていること。そして、「今まで乗ってきたなかでも、タイトルホルダーたちに近い感触があるんです」と弾んだ声を聞かせてくれました。
その日から、ヤマニンマヒアは今年のヤマニン軍団の中で特別な一頭であり、期待を持ってその成長が語られることになりました。
ヤマニン倶楽部も随分と長くなりましたが、関係者の方から「期待馬」を毎年聞いているぐらいですので、たくさんの馬たちを見てきましたが、ヤマニンマヒアはそのなかでもとてもスムーズだったことはとても印象的でした。生き物ですから人間の思い通りに行くわけではなく、いいところで体調を崩したり、故障したり、色々とあるものです。ところが定期的に頂く育成場だよりでは、問題なくデビューまでたどり着いてしまった印象すらありました。
迎えた2018年6月のデビュー戦は中京で、8頭立て4番人気と評価は決して高くありませんでした。しかも出遅れてしまう苦しいスタート。しかし、33.2秒という最速の末脚を繰り出し、後の中京2歳S(OP)馬アドマイヤマーズ、新潟2歳S(G3)馬ケイデンコールに続く3着と、素質を見せてくれました。2戦目となった8月の小倉・未勝利戦では1番人気に支持され、絶好調だったミヤケの猛追を受けるも、遊びながら1馬身1/4差をつけ、レコード初勝利を飾りました。素質を示しながら、順調にスケジュールを消化していました。
そして迎えた3走目。前走・10月14日 紫菊賞(500万下)で2番人気に支持されながら、出遅れ、掛かり、直線では余力なく最下位に沈むことになってしまいました。
期待が大きく順調だったからこそこの敗戦はショックなもので、ヤマニン倶楽部としては逆に落ち込んではいられない、サポートするんだと意気込む必要があるぐらいでした。紫菊賞の走りはこれまでスムーズすぎたヤマニンマヒアには「力んで走る」という大きな課題が提示され、適性としては長い距離の方が向いているとは思うものの、今年はレースを覚えてもらうことが最優先という、初めての課題を持つこととなったのです。
さて、そんなヤマニン倶楽部に驚きのニュースが舞い込みました。
ヤマニンマヒアの次走が、京都・デイリー杯2歳S(G2)だというのです! デビュー戦で敗れたアドマイヤマーズとの再戦でもあります。課題を持ったものの、陣営が下を向かずにチャレンジする姿は、勇気づけるはずの私たちが勇気づけられる選択でした。何故なら、課題を克服しながら強さをも手に入れるチャンスとなるかも知れない、アグレッシブな選択だったからです。舞台は適性を感じさせる京都、距離は経験済みの1600m。恐れるぐらいなら、果敢に立ち向かう。まさにヤマニン軍団の真骨頂です(最近見ていなかった格上挑戦!)。
私たちは、ヤマニンの魔法(マヒア)を楽しむ機会を得たのかも知れません。
ヤマニン倶楽部は全力でヤマニンマヒアを応援します!
【登録頭数:10頭】
(フルゲート:18頭)アズマヘリテージ
アドマイヤマーズ
シャドウエンペラー
スズカカナロア
ダノンジャスティス
ドナウデルタ
ハッピーアワー
マイネルフラップ
メイショウショウブ
ヤマニンマヒア
コメント