中央ダートの頂上といえば、冬のGI・フェブラリーS(GI)。われらがヤマニンアンプリメは6枠12番から。
2016年にデビューを果たしてから、皆の期待を背に走り切った34戦9勝。北は門別競馬場から、南は佐賀競馬場まで。獲得したタイトルは、ダート統一GIを含む3勝。7歳を迎えたヤマニンアンプリメがいよいよ中央GIレース、しかもダート界の頂点に君臨するフェブラリーステークス(GI)に挑戦する。
管理人にとってマイル・1600mというのは、とても意義深い舞台設定だと思っている。これは、ヤマニンゼファーが安田記念(GI)を連覇した後、天皇賞・秋(GI)を戴冠した記事で度々書かれていた内容が、頭の片隅に記憶されているからだ。曰く、「馬は無呼吸で走れる限界がマイル。だからスピードのある最強馬はマイルも2000mも走れる」というもの。コトの真偽はわからない。けど、ヤマニンゼファーの最後の直線で見せたセキテイリューオーとの叩き合い。勝負根性のぶつかり合いは、今でも身震いがするし、ヤマニンゼファーの強さを表したレースだと信じている。だからこそ、ダート1600mという設定は、最強馬選出の舞台として最適だと考えている。
2021年2月21日、東京競馬場で開催される第38回フェブラリーステークスの出馬投票。6枠12番には、ヤマニンアンプリメの名前が刻印された。1600m……彼女には長いかも知れない……ついそう考えてしまう。
2018年4月11日、私は船橋競馬場にいた。ヤマニンアンプリメは初の地方遠征にマリーンカップ(Jpn3)を選び、初のマイル戦だった。特有のレイアウトもあり、直線で末脚を伸ばしたものの3着という成績だった。今思うと、しっかりと末脚を伸ばしていたと思うのだけれども、その時は「彼女には長いのかも知れない……」そう感じた。
2019年、黒船賞(Jpn3)、かきつばた記念(Jpn3)と1400m戦で結果を残せず、北海道スプリントカップ(Jpn3)で初戴冠し、クラスターカップ(Jpn3)で重賞連覇を飾ったとき、やはりこの娘はスプリンターなのかも知れない。オーバルスプリント(Jpn3)で3着に敗れると、若干核心に変わった。しかし、誰もが忘れ得ないJBCレディスクラシック(JpnI)で1400mで魅せた完璧な走り! 一介のスプリンターには示すことができない完璧な走りをダート交流競走の頂点の1つで、彼女自身の走りで証明してみせてくれた。
それ以降勝ち星はないけれども、鼻出血しながらも懸命に走り続けるヤマニンアンプリメは、新たな府中のマイル戦をどんなレースで走り切ってくれるのか、今では期待の方が上回っている。近走の成績でよくも、と思われるかも知れない。ヤマニン倶楽部特有の贔屓目だと断じられても仕方ない。それでも、いつまでも同じではないことを、彼女たちは示してきてくれたではないか。
前走、今回、長谷川調教師の「じっくりと仕上げてきた」というコメントが、私の琴線に触れている。激走をくり返してきたヤマニンアンプリメは、期待に応えてくれる娘だ。だから無理も重ねてきた。歳も重ねてきた。だからこそ、「今の彼女に相応しい調整法と舞台がある」と、そう言われている気がし、陣営はそれを積み重ねてきているのだ。そして前走、出遅れと低評価を覆し、6着に走り切って魅せてくれたヤマニンアンプリメ。
紅一点、末脚を活かすのが本来の彼女の姿。だとすれば、今こそ本当の力が試されるマイル戦を、彼女と陣営の成長と成熟で乗り越えてくれるのではないか、と……。
鞍上には、今季10勝で関東リーティング10位に付ける若武者・横山武史騎手。昨年重賞初勝利を飾り、今年も既に重賞勝ちを収めた。さあヤマニンアンプリメ、35走目の成長と成熟を見せつけてやろう!
いざ、ダート頂上決戦に挑む。
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