重賞初挑戦は、課題が露わとなる７着。
2023年3月12日、週中日本全国的に暖かな陽気に恵まれ、花粉症の方にとっては苦しかったこの週、朝はいい天気が続いた中京競馬場だったものの、パドックが始まる直前には急に降雨があり、また風があることで気温の割には寒さを感じる転向となっていました。レース前から内枠有利と言われた金鯱賞でしたが、あらゆる条件が向いていると思われたヤマニンサルバムにとって、８枠11番を引き当てたことだけが誤算だと報じられていました。ただ、すぐ内枠には前走逃げて結果を出していたフェーングロッテンが、外枠には末脚発揮で戦線復帰したプログノーシスがおり、レースの位置取りは思った以上に理想的に運べるのではないかと思われていました。
パドックに出てきたヤマニンサルバムは、前走比+4となる498kgで、ほぼほぼいつも通りでした。パドックも通常と大きく変わるところがなかったように思いましたが、今思えば少し気負っていたとも言え、しかしそれもいつも通りとも言えました。4番人気に支持されており、不安よりも期待が大きいレース前だったことは間違いありませんでした。
スタートしたヤマニンサルバムは、1角までの直線で内枠から先頭に躍り出るフェーングロッテンの後方に位置しようと、この馬についていきます。外枠からのスタートが心配されてはいたものの、中京・芝2000mはスタートしてから1コーナーまで距離があり、言うほど内外の差はないものと考えられていました。実際このレースでのヤマニンサルバムは、ハナを主張するフェーングロッテンの後方に付けようとフェーングロッテンが行くのを確認しながら、先行しようとする内枠のアラタ、ディープモンスター、マリアエレーナあたりをゴール板あたりまで捉えると、1角では希望したフェーングロッテンの後方に位置することができたと思わせるものでした。
しかし、今思えばそこに魔物が潜んでいたのです。
完全にフェーングロッテンの後方に馬を位置させることができているのであればまた別の結果があったのかも知れませんが、実際に1-2角では、フェーングロッテンの右後方の位置取りで、真後ろというわけではありませんでした。そのため、ヤマニンサルバムは明らかに行く気を見せており、浜中騎手は手綱を絞り、なんとか我慢させようと苦しい手綱さばきを向こう正面までしています。この様子は、今に始まったことではなく、今までも同様に行く気を見せる傾向にありました。ただ、前に馬を置けないことから我慢できず、脚を溜めることができなかったのではないかと推察されます。
2番手で3-4角を回ったヤマニンサルバムは、絶好位で直線に出ると、坂下からゴールに向けてスパートしようするものの、残念ながらお釣りはなく、馬群の中で徐々に退き、初めて掲示板も外してしまう7着に退いてしまいました。
勝ったのは、後方4番手からレースを進めた大外枠のプログノーシス｡直線で末脚を発揮し、内枠有利･先行有利の下馬評を難なく退け、見事なペースで逃げたフェーングロッテンを交わしきり、初重賞制覇となった。2着に逃げたフェーングロッテン、同じく先行したしていたアラタ 3着、ディープモンスター 5着に入り、後方から脚を伸ばしたハヤヤッコが4着となった。
先行勢の中で唯一掲示板をハズしたとも言えるヤマニンサルバムは、やはりレース運びにまだまだ課題があることを突きつけられるレースでした。
レース結果は厳しいものとなりましたが、実際にはここが重賞初挑戦だったヤマニンサルバム。課題がハッキリしたことは、今後の糧を手にしたとも言え、結果に頭を垂れるだけではなく、前を向いていきたいレースではありました。ただ、正直期待が大きかったレースなので、3日間だけは落ち込むことが許されるのではないかと思います(;^_^A
浜中俊騎手
https://www.sanspo.com/race/article/general/20230312-P3N6TYWCDBH53AL3JXNJFVL63Q/
「内枠がほしかったです。見た目はスムーズに運べていたかもしれませんが、前に馬を置いていないと、脚がたまりませんね」
レース後の浜中騎手のコメントで、合点が行きました……。
センターを確保しようとした完璧なコース取りでしたが、慣れないことに脚がもつれて即興演奏叶わず……再スタートしてふたたびこの舞台を目指すことになります。どう考えても、いずれ戴冠はする素質馬だと思います。
みなさん、応援お疲れさまでした。引き続き応援をしていきましょう！
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