目標へ1つ1つ積み重ねるヤマニンゼスト。そして大胆な一手。菊花賞トライアルへ!
2009年10月25日 京都競馬場で開催された第70回 菊花賞(GI)には、夏の白百合ステークス(OP)でワン・ツーを飾った錦岡牧場生産馬2騎が参戦。4着にイコピコ、6着にヤマニンウイスカーが入賞し、ヤマニン軍団の牡馬にも注目して欲しいと結果を残したレースでした。長年、中央競馬を彩ってきたわれらがヤマニン軍団ですが、古馬タイトルである天皇賞には3度栄冠に輝いたものの、クラシックの栄誉にあずかったことはありません。無責任なファンである管理人はよく、「クラシック勝利を楽しみにしてます」と口にして関係者を困らせていましたが、そんなことは確認するまでもなく、関係者の皆さんにとっての「悲願」。クラシックに何度も挑戦した軌跡は、少し調べても枚挙に暇はないはずです。この年も「頂点」という意味を持つイコピコが、前哨戦・神戸新聞杯(GⅡ)をコースレコードで勝利し、菊花賞に挑んでいました。
そして2022年、ヤマニンゼストがこのレースに登録しました。
ヤマニンゼストは、錦岡牧場が導入したアイルランド産マダニナの孫にあたる血統です。重賞勝馬であるロゼカラー、ロサード、ヴィータローザを輩出したローザネイは、従姉妹にあたります。マダニナには当時の期待馬たちが配合され、ラジオNIKKEI賞(G3)2着・ヤマニンファラオ、京都金杯(G3)3着・ヤマニンウイスカーなどを輩出します(そう! 前説で述べた菊花賞6着馬は叔父にあたります)。このマダニナに三冠馬ディープインパクトを配し産まれたヤマニンバステトの初仔……ヤマニンゼストの血統背景は、このような説明になると思います。
ヤマニンゼストは2021年10月 阪神の新馬戦で9着と地味にデビューしました。出遅れたレースで、千田師も「まだまだ身体を持て余しているので(これからです)」というようなコメントを残していました。コメント通りと言うべきか、ヤマニンゼストの2走目は休養を挟んだ翌年2月 小倉の未勝利戦。またしても出遅れたものの、6着と前進して見せました。福丸助手は「まだまだ心身ともに幼い部分があるが、前進に期待している」と中1週で臨んだ未勝利戦を3着に好走してみせました(ふたたび出遅れたけれども)。
ここで勝利を目指すのかと考えるところ、陣営はそのまま小休止。短期放牧させます。「上手く立ち回っていい内容だった。短期放牧で気持ちもリセットできた(千田師)」と4月下旬 阪神で復帰したレースを9着と残念な結果に終わったものの、「道悪を気にしていた(千田師)」と5月 中京開幕週へ方向転換。新人・鷲津騎手を起用し、五分のスタートから中団をキープし、最後の直線外から伸びてハナ差で交わす初勝利を飾った。
ところが、陣営はここでふたたび短期放牧を選択し、7月下旬 札幌自己条件を選択。「リフレッシュ効果は感じる(千田師)」と+14kgの馬体重はすべて成長分なのですね、と感じさせる3コーナー最後方から全馬を差し切り2着馬に2馬身半差を付ける快勝劇を見せてくれたのでした。前走となる藻岩山特別(2勝クラス)は最後方からのレースとなり、さすがにそれはと思わせながら6着まで突っ込んできていました。
ここまで7戦2勝ながら、陣営が慎重にコトを進めていることが判ります。馬の様子をみながら、最善手をさぐりさぐり前進しています。鷲津騎手起用で派手な勝ち方をしていたこともあり、斥量への心配がないとは言いませんが、500kgの馬体で斥量がそこまで不安材料になるのか、疑問でもあります。ただ、陣営が静かに、静かに、ヤマニンゼストを目標に向けてサポートしていることが判ります。そして、秋の初戦に選択したのが、菊花賞トライアル・第70回 神戸新聞杯(G2)です。この選択、確実に目標絞っていたでしょうと思わずにいられない大胆さ! その真実は私たちには判りませんが、静かに、慎重に積み重ねられた選択が、菊花賞トライアルを選ばせている……私には、陣営の視野には次のレースまでターゲットとして入っているのではないかと、思えてしまいます。
今週末、ヤマニンゼストがどんなレースを見せてくれるのか。静かに、熱意を持って見守りたいと思います。
第70回 神戸新聞杯(GⅡ) 5回 中京 7日目 サラ系3歳 オープン (国際) 牡・牝(指) 3歳以上オープン(国際)(特指)別定 コース:中京2,200メートル(芝・右) 【登録頭数:17頭】(フルゲート:18頭) |
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