ヤマニンチェルキ、交流重賞3連勝でJpn2制覇! 進撃は秋の頂点へ向かう――
2025年10月9日、大井競馬場で行われた第59回 東京盃(Jpn2)において、われらがヤマニンチェルキが交流重賞3連勝という偉業を達成いたしました! 8月の北海道スプリントカップ(Jpn3)、9月のサマーチャンピオン(Jpn3)に続く快挙となりました。レース前にはネガティブな評もありましたが、それは成長し続けている3歳馬にとってはいつものこと。古豪ひしめくダート短距離路線で、前走・前々走からの成長を確認できる快勝劇――まさに新星の誕生と言える勝利でした。ヤマニン軍団だけでなく、日本のダートスプリント界に、彼の名前がいよいよ輝き始めたのではないでしょうか。
ヤマニンチェルキは4月に阪神・バイオレットステークス(OP)に勝利すると、園田、門別、佐賀と、地方の競馬場を渡り歩いてきました。この遠征の旅は、決して楽な道のりではなかったはずです。元々は管理調教師の引退に花を添えた、言葉は悪いですが地震が主人公ではない「美談の馬」として注目されていた彼。この強さは、初めから持っていたものでも、認められていたわけでもないのかもしれません。
ひとつひとつの遠征、ひとつひとつのレースで、彼は自身の成長を証明し続けてきました。例えば前走・サマーチャンピオン(Jpn3)では、距離延長という課題を見事に乗り越え、岩田望来騎手も「すごい勝負強さを見せてくれました」と称賛したほどでした。
強くあるべき自分、ダート短距離路線で闘うための存在価値――それを懸命に探求し続けた走りが、この夏の連勝に繋がり、そして今回の東京盃での完勝という結果に結びついたのだと思います。「美談」を引き継いだ中村直也調教師も、古馬相手で厳しいかと思いつつも、彼が「しっかり勝ってくれた」ことに好感触を抱いています。
10走目で初めての関東遠征となった大井競馬場のパドックは、ヤマニンチェルキの馬体はここまでの遠征の疲れを感じさせない、逞しく鍛えられた姿を披露してくれました。ここ2走の交流重賞を連勝した時と同様、充実した秋を迎えるにふさわしい、堂々とした雰囲気でした。その引き締まった馬体を見て、私たちサポーターは、この後の大一番に向けて期待を膨らませたに違いありません。



ゲートが開くと、ヤマニンチェルキは一歩目が出負けしたように見え一瞬ヒヤリとさせられましたが、そこは岩田望来騎手、すぐに勢いをつけ巧みに最内へと潜り込む手綱裁き。前走までのレースを見ていたとレース後に語った岩田望騎手は、今日の馬場は「前が止まらない」傾向にあると分析済みで、「早めに前へ」つけるイメージを持っていたと語っています。道中はロスなく好位の内を追走し、完璧なポジション取りを見せてくれました。
3コーナーからインを突いた人馬は、コーナリングで先団の4番手までポジションを上げています。手応えは抜群で、直線で末脚を見せてくれると騎手は確信したように、じっくりと仕掛けどころを待っているように見えました。
そして最後の直線! 私たちの期待を裏切らないヤマニンチェルキは、内の狭いスペースをこじ開けるように一気に進出。古馬の強豪たちが懸命に食い下がろうとしますが、ヤマニンチェルキのスピードは衰えるどころかアクセルを開き、みるみるうちに先頭に立つと、後続をグイグイ突き放しにかかります! 岩田望騎手の気迫のステッキに応え、後続馬たちが迫るもそのまま余力をみせる2馬身差をつける完勝でゴールイン! 大井の舞台で、若き王者がその実力を誇示してくれました。


今回の東京盃(Jpn2)制覇は、ヤマニンチェルキが単なる「3歳馬」の枠を超え、ダート短距離界のトップクラスに躍り出たことを証明する、非常に価値のある勝利となったのではないでしょうか?
中村調教師は、ヤマニンチェルキがどこに行っても難しいところを出さず、リラックスしている点を「いいところ」だと評価するコメントを発表しています。確かにそうでなければ、短期間で日本を縦断する遠征をすることはできません。また、岩田望騎手も「すごく強い勝ち方でした」「次も自信を持って乗れます」とコメント。若きコンビが、古馬の強敵を相手に1分10秒7(良)という勝ち時計で突き放した事実は、彼のスピードと勝負強さが本物であることを示してくれています。
時計は過去を示してくれる実績に過ぎないので、「早い・遅い」と比べたくなりますが、大事なことはこのタイムが、彼の自己記録を更新している、という事実です。思えば、課題の多かったヤマニンチェルキ。門別戦前には、「五分にスタートできれば」と言われ、ここ3走のスタートの改善には目を瞠るものがあります。佐賀戦前には、「短期間での日本最長遠征?」「大きな馬体に小回りのコースは?」「古馬との力関係はでどうだろう?」「距離延長は?」と言われながら、自信のタフさ、勝負根性ではね除けて見せました。今思えば、それぞれの課題をクリアして、自分の強さを「見つけ続けた」ヤマニンチェルキとその陣営でした。

今回の勝利により、ヤマニンチェルキは、秋の短距離王決定戦であるJBCスプリント(JpnI・D1000m)への優先出走権を獲得しました。
中村調教師は、1000mという距離には懸念を示しつつも、馬の状態を確認して整えば向かいたい、と語られています。岩田望来騎手も「まだまだ強くなる」と期待を込めています。
北海道から佐賀、そして大井と、各地で成長を遂げたヤマニンチェルキ。「ヤマニン」の名を冠する新たな星が、秋の挑戦・JpnIの舞台でさらに力強く輝きを増すことを、私たちヤマニンサポーターは心待ちにすることになりました。止まらない3歳馬は、一気に頂点に駆け上がり、思い描いた強い自身の姿を見せつけて欲しいものです。
コメント