ヤマニンブークリエ、菊花賞(GI)への出走権を得る2着!
ヤマニンブークリエは、セントライト記念(G2)を重賞3回目の挑戦として迎えました。デビュー当初から東西の名手にその素質を認められていたものの、GⅠや春のクラシック挑戦では悔しい結果に終わっていました。特に2歳暮れのGⅠホープフルステークス(GI)では5番人気に支持されながらも14着と大敗し、武豊騎手からは「まだ不器用すぎますね」とコメントされるなど、多くの課題が残る一戦となりました。今春もクラシック挑戦のためすみれステークス(OP)で4着、ダートの自己条件で2着、日本ダービーへの登竜門である青葉賞(G2)では8着と、結果に繋がらず悔しい春を過ごしました。
しかし、6月 前走・町田特別(2勝クラス)では、好位から内ラチを抜け出す完璧なレースぶりで快勝。「ノリさんらしい」鮮やかなイン突きで圧倒的1番人気馬を下し、松永幹夫調教師も「ジョッキーがうまく乗ってくれました。格上挑戦でハンデが軽いこともありましたが、強い競馬でした」と絶賛。この勝利は、東西の名手が認めた素質が間違いではなかったことを証明するものでした。
セントライト記念は、そんなヤマニンブークリエがクラシック最後の一冠である菊花賞へ挑戦するための大一番。決して人気サイドではなかった8番人気という評価の中で、彼がどのような走りを見せてくれるのか、期待と不安が交錯する中でレースのゲートが開かれました。



2025年9月15日、中山芝2200mで行われたセントライト記念(G2)。ヤマニンブークリエは5番ゲート、内枠からのスタートとなりました。レースはジーティーアダマンが先手を取り、サクラファレルが2番手につけるスローペースで展開。1000m通過は1分0秒3と計測されました。
ヤマニンブークリエは、横山典弘騎手の手綱捌きのもと、中団の内目、前から5番手あたりでロスなくレースを進めました。3コーナーから4コーナーにかけて、馬群の内側を狙ってじわじわと進出を開始。直線に向くと、一旦は12番フィリウスが先頭に立ちましたが、内からヤマニンブークリエ、レッドバンデが、さらに外からは皐月賞馬ミュージアムマイルが猛追。
ヤマニンブークリエは得意とする内を突き、狭いところを勇気を持って加速。馬群をこじ開け内から一旦は先頭に立つ場面も見せ、その力強い走りに中山競馬場が湧き上がりました。しかし、ゴール前で皐月賞馬ミュージアムマイルの決め手に屈し、3/4馬身差で惜しくも2着でのゴールとなりました。勝ち時計は2分10秒8でした。




この2着は、ヤマニンブークリエにとって大きな意味を持つ結果となりました。クラシック最後の一冠である菊花賞への優先出走権を見事に獲得。昨年、神戸新聞杯(G2)8着で菊花賞へ駒を進めることができなかった半兄ヤマニンステラータの雪辱も果たす形に。
レース後、松永幹夫調教師は、横山典弘騎手が見事に内をロスなく導き、最後は馬群をこじ開けた手腕を高く評価。また、「前走(2勝クラス)の勝ちもフロックではないと期待していた。まだまだ成長途上でこれから良くなる馬」と、ヤマニンブークリエの将来性に太鼓判を押しました。
インにこだわったレース運びと馬群を割って抜け出した点は、速い上がり勝負では分が悪いもののロングスパート戦で持続力が問われる流れになれば、そのスタミナが最大限活かせることを証明してくれました。まさに長距離向きのレース内容でした。
血統的にも、父はGⅠ6勝馬イクイノックスや皐月賞馬ソールオリエンスを送り出したキタサンブラック。母ヤマニンプードレも錦岡牧場が誇る名牝系「ワンオブアクライン」に連なり、欧州の血が入っていることから、長距離への適性が感じられます。この牝系からはヤマニンサルバムやヤマニンウルスなど、近年多くの活躍馬が輩出されていることからも、その素質の高さが伺えます。
2着 ヤマニンブークリエ(松永幹夫調教師)
https://www.radionikkei.jp/keiba_article/news/post_35901.html
「騎手が見事に乗ってくれました。内で脚を溜めて上手く乗ってくれました。休み明けの分少し力んでいたようですが、最後は間をこじ開けてきました。まだまだ成長途上でこれから良くなる馬です。次は様子を見ながら決めたいと思います」


クラシック最後の一冠である菊花賞(GI)は、京都・芝3000mの舞台で行われます。父キタサンブラックも菊花賞を制しており、父子制覇への期待も高まります。
デビュー当初から期待されながらも、大舞台ではあと一歩届かなかったこれまでの苦難が、ヤマニンブークリエをさらに強くしたはずです。横山典弘騎手とのコンビで掴んだこのチャンスは、彼が秋の空にその輝きを放つ準備が整った証です。
ヤマニンブークリエが秋の淀で最後の一冠に挑みます(たぶん)。皆さま、引き続きヤマニンブークリエへの熱い応援、いっしょによろしくお願いいたします!
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